硬い石をさくさく削る【彫刻制作ツール】大理石彫刻道具何を使う?

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彫刻制作ツール

彫刻作品制作の必需品

長年私の作品制作に活躍してきたリューター(画像)が、ベアリングや各部の部品の磨耗に起因する不調により、新品のリューターの購入を機に、現役引退とした。2000年5月にドイツで開催された、彫刻シンポジウムへの参加にあわせて購入して以来、私の現在のほぼすべての大理石作品は、このリューターを使って制作している。10年以上にわたる、埃と振動の多い・高負荷の石材加工作業を行えた事実は、日本の某一流メーカーのこのリューターのクオリティーの高さを示している。私のメンテナンスが良かったせいもあるが。

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そして最新型を入手。

リューターは、先端に取り付けた回転砥石が圧縮空気によって毎分数万回転して対象物を切削する工具である。リューター導入以前はエアーハンマーとやすりを使って制作していたのだ。気の長い話である。今回引退した、画像上のリューターを初めて使った時、そのすばらしい作業効率にたまげた私であったが。そんなこんなでこれ(画像下)が今回新規に購入した国産一流メーカーのリューターである。本体は軽く、作動音は静かで、毎分最高6万回転する先端・・・・と最新モデルらしい性能を持っている。

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自家製ビット

手前の最新リューターには、市販製にはない、私の手製の荒めの砥石が装着されている。
砥石の切削能力と、耐久性は両立しないようで、この砥石の耐用は数時間に過ぎないが、大理石であれば、極めて高い切削能力を示す。さっくさくである。

軸付き砥石やダイヤモンドビットなどの価格は以前よりもずいぶん下がりお求め安くなったが、やはり、マスプロダクション製品にありがちな、80点主義製品にどうしても不満が残る場合は自分で補って作るしかない。

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所有リューター一覧。

これらの各リューターはコレットチャックの形状が違い、先端工具を交換する際使用するレンチも各リューターの専用工具が必要。エアーホースのジョイントの径も違う。部品の互換性などの利便性を考えると同じ機種で統一するのが好ましいのではあるが。

現在市場に出回っているリューターの製品価格は、輸入品の5000円台から、国産一流メーカー製品の30000円前後までと、その価格はかなりの開きがあるし、その製品のカタログ上のスペックに現れない性能差は読み取りにくい。
各メーカー製品の・スペック・実際の性能・耐久性はピンキリで、これらを高次元で両立しているのは、やはり日本製といわざるを得ないのが現状ではある。

ブランドにこだわっているわけではないが、国産品を選ぶのが無難ではある。
それでも多様なメーカーの製品を試して、自分の感覚にフィットする物を選びたい、浮気性の私なのであった。

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高精度回転

このムラキ社製のリューターの最大の特徴は、その極めて高い回転精度にある。

毛の先ほどの細いタングステン カーバイト鋼のビットを装着すれば、高精度での回転が可能なこのリューターが、手の人差し指と親指で作った「丸」ほどの小さな顔の表情の表現を可能にする。

タイムラグの短縮

リューターの卓越した切削能力は私にとって、イメージから実体への移行のタイムラグの大幅な短縮をもたらした、といえる。
リューター+タングステン カーバイト鋼のビットの切削能力を持ってすれば、実際の髪の毛をとかすのとさほど変わらないスピードで大理石作品の造形が可能だ。

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イメージの鮮度

リューターは複雑で奥まった形の耳などの造形も得意とする。
大理石人物像制作においては、一回の造形作業で形が決定する事は少なく、時には大幅な形の変更を行う事もある。全体のバランスを考慮しつつ細部の形を探っていくので、繰り返しの造形→修正のスピード感をもたらすリューターは、イメージの鮮度の保持に極めて重要な役割を担っている。

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(2012年08月30日)

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