脳内イメージに形を与える「方策」【デッサン】タオモテ、デッサンを語る

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デッサン

ドローイング作品の撮影

本日はドローイング作品の撮影と出品作業をする。ドローイング作品は画面サイズがすべて同じなので、ライティングなどのセッティングが決まればあとは流れ作業なのである。私のカメラはもう五年使っているニコンのコンパクトで、最新型に比べてスペック的には見劣りはするが、いいレンズを装備しているので、写りはいい。
かつて私はペンタックス6×7とニコンのF-4を所有していたが、金に困って質流れしてしまい、失ってしまった。それは2000年頃の事なのだが、デジカメが急速に普及し始め、フィルムカメラの価格が暴落する直前に借り逃げする結果になったのは不幸中の幸いというべきか。質屋か誰かがババを引いたのかどうか知る由もない。
夕方陽が落ちてからシャッターを切り始め(電球/太陽光の色温度の混在を避けるため)約20点を一時間で撮影完了。更に一時間で出品作業完了。この便利さをいちど経験するとフィルムカメラは今更、という感じがする。

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瞼の裏に浮かぶ絵

絵にしても彫刻にしても、リアルと評される私の作品だが、私自身もその事を常に意識してはいる。ただ絵・平面作品でリアルなものというと、”写真”があるが、それとどう差別化するかは頭の隅で考えている。写真をモチーフにして写真風の作品を作る人もいる。著作権の問題を除けば、なんでもありの現代・・・
わかりやすく私のドローイングを説明すると・・・私の瞼の裏に張り付いた画像の感じなのだ。
リアルは追求してはいる。ただ描きながら私の中の色んな考えが交錯しつつ画面を構成していってるのだ

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いつでもデッサン

9歳頃の作品

私の手元にある最も古い私の作品は、私が9歳の頃描いたコンテによる人物のドローイングなのだが、技術的にはもちろん現在のほうが上ではあるが、基本的には現在とそう差はない気がする。

あるアーティスト曰く、知性はデッサンする。しかし肉付けするのは”心”なのだと。
この説は、人が描くものの独特の味わいについて分かりやすく簡潔に表現していると思う。好きな言葉だ。

私はいつも”デッサン”しているのだ。”描く”行為はその行為の中のごくわずかな時間だ。 私自身の持っているイメージの解読とそれらの波長を画面に合わせる技術。今の私はそれらの作業を日常的に行っている。しかしそれらの技術は不毛とも思えた反復練習によって習得したのだ。
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「イメージ」の存在感

予備校時代のデッサン

芸大受験の予備校の先生がよく、周りこむ形を見なさいと言っていたが、今でもそれを意識している。そして、視点を変えて、形を見なさいとも言っていた。彫刻を専攻していたからなおさらなのだが、実際の空間に”存在”している感じが画面に強く現れるのが重要なのだ。

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「視覚」の翻訳作業

現在の私の最新作のデッサンと比較すると、それら受験時代のデッサンは荒削りで無駄な線が多い。これらのデッサンを描く時間の区切りは一週間単位で、時間にすると10時間以上はかかっている。現在の私はその3分の1の時間で3倍の密度のデッサンを描ける。           

受験時代当時、先輩方のデッサンの、木炭の濃淡で創り出される、豊かなグラデーション・存在感に驚嘆したものだ。ラフに描いているようでも、線が形にぴったり合っている感じ・・・・線に無駄が無いのだ。       

石膏像の実物を近寄って見て見ると意外とラフな感じで、単調にすら思えた。しかし離れて見て見ると、形の陰影が創り出す豊かなグラデーションが全体としての存在感を強固にしているのだ。私は当時、それをわかったような、わからないような・・・のまま運良く芸大に入学できてしまったが・・・・・

芸大を卒業したものの、この当時、まだまだ私の人生まっ白。自分探し・生活・壁にあたり・・・の、長い長い道のりが待っている。ドローイングを描きたい欲求はあって、デッサン会などにぼちぼち参加したりしている。しかしそれらは習作の域を出ないものと私は認識していた。彫刻でもそうだが、テーマが見つかってなかったのだ。

しかし学生の頃のトレーニングによって私は自分の描きたいものを極めてスムーズに、視覚的に素直に描けるようになりつつあると、手ごたえを感じていた。
視覚から入ったイマジネーションのデータのアナグラムの並べ替え作業・・・・翻訳作業ともいえる・・・・それが私の”心”を通した”作品”になるのではないか?

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(2010年10月29日)

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